漢方…とりわけ「中医学」では、「五行学説」というものが重視されます。
これは、古代からある中国哲学の1つで、一言で言うと、自然界は木・火・土・金・水の5つの要素に集約・分類できるというものです。
これが、人体にも応用され、肝・心・脾・肺・腎をはじめとする人体の部位や感情全てがこの5つの要素に分類されています。
例えば、「肝」これは、五行では「木」のグループに属します。
植物の木は、地面に根をはり、空に向けてのびのびと枝を伸ばして、葉は太陽の光を充分に浴びて、地面と空から得た栄養を全体に行き渡らせます。
しかし、台風などの雨風や大気汚染、土壌汚染などがあると、根や枝を伸ばすことができず、しっかり生長できません。
同様に、臓腑の肝も、ストレスなくのびのびとすることで、全身に気血を行き渡らせていて、精神的な安定もはかっています。
ところが、学校や職場でのストレスなどがかかってくると、肝はのびのびすることができず、気血が滞ってしまいます。
これを「肝気鬱結(かんきうっけつ)証」と言います。
肝気鬱結証に陥ると…イライラ、怒りっぽい、ため息が多い、憂鬱、頭痛などが起こります。
女性の場合だと、月経不順となり、特に月経前にこれらの症状が強く現れることがあります。
また、同じく月経前に強い月経痛、乳房が脹って痛むなどがあります。
このような場合には、滞っている肝の気血をめぐらせてあげる必要があります。
生薬では、柴胡や芍薬を使用します。
方剤では、柴胡と芍薬がメインで配合されている四逆散、柴胡疏肝散、逍遙散などを使用します。
※それぞれの体調、症状により方剤の選択は変わりますので、お悩みの方は是非一度ご相談ください。